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マイナ保険証の運用と資格確認書(黄色い保険証?)の実務を解説(2026.5.11)

「手元にある古い健康保険証、いつまで使えますか?」「マイナ保険証を持っていない従業員はどうすればいいですか?」

中小企業の経営者・人事担当者の方から、このようなお問い合わせを日々いただきます。

結論から申し上げます。令和7年(2025年)121日をもって、従来の健康保険証は法的に失効しました。また当初の猶予期間はさらに延長され、令和8年(2026年)731日が最終期限となっています。これ以上の延長は厚生労働省も「想定していない」と明言しています。

 

本記事では、社会保険労務士の視点から「マイナ保険証」と「資格確認書」の仕組み・使い方・紛失や更新時の対応まで徹底解説します。企業の実務担当者の方はもちろん、従業員への周知資料としてもぜひご活用ください。

 

 

1章.旧健康保険証の猶予期間が終了。現在の受診方法のルール

 

(1)令和7年(2025年)12月に旧保険証の利用は終了しました

令和6年(2024年)122日以降、従来の健康保険証は新たに発行されなくなりました。そして令和7年(2025年)121日をもって、手元に残っていた旧保険証も法的な効力を完全に失っています。

 

ただし、医療現場での混乱回避や資格確認書の発送遅延などを考慮し、厚生労働省は「暫定措置」として旧保険証の使用を一定期間認める経過措置を設けました。

 

■ 暫定措置の概要

・ 有効期限切れの旧保険証でも、医療機関のオンライン資格確認で「資格あり」と確認できれば保険診療を受けることができます

・ この暫定措置の期限は令和8年(2026年)731日です

・ 厚生労働省は「これ以上の再延長は想定していない」との見解を示しており、令和88月以降は旧保険証は使用できなくなります

 

重要

令和88月以降に旧保険証のみをお持ちの従業員が病院を受診しようとした場合、保険診療が受けられず、全額自己負担となるリスクがあります。早めにマイナ保険証または資格確認書への切り替えを促してください。

 

(2)現在の医療機関での受付は「マイナ保険証」または「資格確認書」の2

令和88月以降の受診時に使用できる証明書類は、次の2つに限定されます。

 

|              | マイナ保険証               | 資格確認書           |

| 主な対象者   | マイナンバーカード保有の方 | カード未取得・登録していない方 |

| 受診時の提示物 | マイナンバーカード     | 資格確認書           |

| 有効期限    | 電子証明書の有効期限(5年)| 最長5年(保険者が設定)   |

| 窓口負担額   | 差なし           | 差なし             |

 

マイナ保険証と資格確認書では、医療機関の窓口での自己負担額に差はありません。どちらを選択しても、同じ医療を同じ費用で受けることができます。

 

 

2章.メインで使う「マイナ保険証」のメリットと便利な活用術

 

(1)限度額適用認定証が不要!高額療養費制度の自動適用

入院や手術など、医療費が高額になる場合に活用される「高額療養費制度」。これまでは事前に「限度額適用認定証」を保険者から取得し、医療機関に提出する必要がありました。

マイナ保険証を利用すれば、限度額適用認定証の取得・提出が不要となります。医療機関の受付でカードを読み取るだけで、窓口での支払いが自動的に高額療養費の自己負担限度額までに抑えられます。

・ 急な入院の際に証明書を取り寄せる手間が省けます

・ 窓口での一時的な高額支払いと後日還付申請の手間がなくなります

・ 社員への事前案内も「マイナ保険証を持参してください」だけで完結します

 

(2)マイナポータルで確認できる医療費通知と確定申告の連携

マイナ保険証を利用することで、医療費のデータがマイナポータルに自動集計されます。これをe-Taxと連携させると、確定申告時の「医療費控除」の申請がほぼ自動入力で完了します。

従業員が年末調整や確定申告で医療費控除を申請する際、「1年分の領収書を保管して集計する」という手間が大幅に削減されます。人事担当者として従業員へのメリットとしてぜひ周知してみてください。

 

(3)引越し・就職・転職時もカードの切り替え不要で継続利用が可能

従来の紙の健康保険証では、就職・転職・引越しのたびに新しい保険証の発行を待つ必要がありました。マイナ保険証であれば、カード自体を切り替える必要はありません。

保険者(会社の健康保険組合や協会けんぽ等)が資格取得・喪失の手続きを完了させれば、同じカードをそのまま使い続けることができます。特に転職が多い従業員にとっては、手続きの手間が大幅に軽減されます。

・ 転職した場合:前職の保険資格喪失後、新しい会社の資格取得処理が完了次第、同じカードで受診できます

・ 引越しした場合:住所変更の手続きは市区町村窓口で必要ですが、保険証の発行待ちは不要です

・ 被扶養者(家族)も同様に、新たな扶養認定後はそのまま継続利用が可能です

 

(4)【重要】電子証明書の有効期限(5年)と更新手続きの注意点

マイナ保険証の利用にあたり、担当者として必ず把握しておきたいのが「電子証明書の有効期限」です。

マイナンバーカード本体の有効期限(18歳以上は10年、18歳未満は5年目の誕生日まで)とは別に、カードに内蔵されている「電子証明書」には5回目の誕生日という有効期限があります。この電子証明書の期限が切れると、健康保険証としての機能が失われます。

 

■ 更新手続きの流れ

 

| ステップ      | 内容                          |

| ① 通知書の確認  | 期限の約23か月前に有効期限通知書が届きます      |

| ② 猶予期間の確認 | 有効期限後も3か月間は引き続き健康保険証として利用可能 |

| ③ 市区町村窓口へ | 住民票のある市区町村の窓口へ本人が行き、更新手続き実施 |

| ④ 更新後の利用  | 更新後すぐに健康保険証として利用再開できます     |

 

2026年現在、マイナ保険証の導入開始(202110月〜)から5年が経過しつつあります。初期に登録した方の中には、電子証明書の更新時期を迎えている方も増えています。企業の担当者として、従業員に対し「青い封筒が届いたら速やかに市区町村窓口で更新するよう」周知することが重要です。

 

 

3章.マイナ保険証がない場合の「資格確認書」の運用ルール

 

(1)「資格確認書」の役割と有効期限(最長5年)について

「資格確認書」とは、マイナ保険証を保有していない方、あるいはマイナンバーカード自体を取得していない方が、これまで通り保険診療を受けられるように発行される書類です。

資格確認書は、マイナ保険証の代替手段として正式に制度化されており、従来の健康保険証と同等の効力を持ちます。

 

■ 資格確認書の主な仕様

・ 形態:プラスチック製のカード型、ハガキ型、A4用紙型など(保険者によって異なります)

・ 有効期限:最長5年以内で各保険者が設定(従来の保険証と同様に更新が必要です)

・ 医療費負担:マイナ保険証と全く同じ(差はありません)

・ 発行費用:無償

 

なお、「資格情報のお知らせ」という書類と混同される方が多くいらっしゃいますが、これは全く別の書類です。「資格情報のお知らせ」はマイナ保険証利用者向けの通知であり、単体では受診できません(カードリーダー故障時にマイナ保険証と併用する場合のみ使用可能)。混同にご注意ください。

 

(2)資格確認書が自動交付される方・申請が必要な方の違い

資格確認書の交付方法は、対象者の状況によって異なります。

 

 

 

| 区分      | 対象者               | 交付方法      |

| 自動交付    | マイナンバー未取得者・登録未実施者 | 原則、自動的に送付 |

| 申請による交付 | 障害等によりカード利用が困難な方 | 加入する保険者へ申請 |

| 再交付     | 住所・氏名変更や紛失した場合   | 保険者へ申請が必要 |

 

企業の人事・総務担当者の方は、新入社員の採用時に「マイナ保険証の利用登録をしているか」を確認し、していない場合は資格確認書の発行が必要になる旨を保険者(協会けんぽ等)へ連絡することが重要です。協会けんぽの場合、資格取得届に所定のチェックを入れることで資格確認書発行の手続きが進みます。

 

(3)マイナンバーカードを紛失した際の一時的な受診方法

マイナンバーカードを紛失した場合、まず速やかに利用停止の手続きを行ってください。

STEP1:「マイナンバー総合フリーダイヤル」(0120-95-0178)へ電話し、カードの利用を一時停止する(24時間365日受付)

STEP2:お住まいの市区町村窓口にてカードの再発行申請を行う(再発行には約12か月かかる場合があります)

STEP3:カード再発行の間は、加入する保険者(協会けんぽ等)に連絡し、「資格確認書」の発行を申請する

STEP4:資格確認書が届いたら、それを使って保険診療を受ける

 

カードを紛失したからといって、すぐに保険診療が受けられなくなるわけではありません。上記の手順で対応することで、継続的に保険診療を受けることができます。従業員から「カードをなくしてしまった」と相談を受けた際は、この手順を案内してください。

 

(4)マイナ保険証から資格確認書への切り替え(利用登録解除)の手続き

一度マイナ保険証の利用登録を行った後でも、希望する場合は登録を解除することができます。

・ 解除方法:マイナポータルにログインし、「健康保険証利用登録の解除申請」から手続きを行います

・ 解除後の対応:登録解除後は、加入する保険者から自動的に資格確認書が送付されます

・ 注意点:解除後に再度マイナ保険証として利用したい場合は、あらためて利用登録が必要です

 

 

4章.2026年現在、よくある疑問とトラブル解決(Q&A

 

Q1. マイナ保険証の登録を解除したいのですが、どうすれば良いですか?

Aマイナポータル(スマートフォンアプリまたはWebサイト)にログインし、「健康保険証の利用登録解除」から申請できます。解除後は加入する保険者から資格確認書が自動交付されますので、それを使って受診してください。

 

Q2. スマートフォンだけでも受診できると聞きましたが、本当ですか?

Aはい。令和7年(2025年)919日より、対応するスマートフォンであれば「スマホ用電子証明書」を利用して、マイナンバーカード本体を持参しなくても受診できるようになりました。ただし、対応機種・対応医療機関の確認が必要です。

 

Q3. 施設に入所している高齢の親のカードはどう管理すればいいですか?

A高齢や障害によりカードの操作が困難な方は「要配慮者」として、申請することで資格確認書の交付を受けられます。施設スタッフが代理で管理することも可能です。マイナンバーカードの暗証番号の設定が不要な「顔認証モード」も活用できます。

 

Q4. 病院でカードリーダーが故障していて読み取れなかった場合はどうなりますか?

Aこの場合は「マイナ保険証(カード本体)」と「資格情報のお知らせ」を併せて提示することで、保険診療を受けることができます。「資格情報のお知らせ」は保険者から送付される書類です(単体では受診不可)。万が一に備えて手元に保管しておくことをお勧めします。

 

■ よくあるご質問 早見表

| よくある疑問      | 回答のポイント                    |

| 利用登録を解除したい  | マイナポータル「利用登録の解除申請」が可能。     |

| スマホでも受診できるの | 令和7919日より「スマホ用電子証明書」で受診可能 |

| 施設入所の高齢者はどうする? | 要配慮者として資格確認書の申請交付が可能。   |

| カードリーダーがエラーになった | 「マイナ保険証+資格情報のお知らせ」を提示  |

 

 

5章.まとめ:自分に合った受診方法で適切な医療を

 

本記事のポイントを整理します。

 

| ポイント    | 内容                            |

| 旧保険証は失効 | 令和7121日に失効。暫定措置も令和8731日で終了 |

| 受診の2択   | 「マイナ保険証」または「資格確認書」のいずれか       |

| 資格確認書は自動交付 | 対象者には申請不要で無償送付。有効期限は最長5年   |

| 電子証明書の更新 | 5年ごとに市区町村窓口での更新が必要。案内が届いたら対応を |

| 紛失時は即座に停止 | 0120-95-017824時間対応)へ電話し利用停止       |

| スマホ対応もあり | 令和79月〜、スマホ用電子証明書での受診が可能に    |

 

令和8731日の暫定措置終了は、いよいよ目前に迫っています。企業の担当者として、今すぐ以下の3点を確認・実施してください。

 

・ 確認:「令和87月末で旧保険証が完全に使えなくなる」という正確な情報を全従業員に周知する

・ 確認:マイナンバーカード未取得者・暗証番号忘れの従業員を把握し、早期対応を促す

・ 確認:資格確認書を利用する従業員に対し、有効期限(最長5年)の管理を徹底する

 

健康保険証のデジタル化は、単なるカードの切り替えではありません。データに基づいた質の高い医療と、現場の効率化を目指す国家規模の大きな制度改正です。

会社としては、この仕組みを正しく理解し、従業員の皆さんが将来にわたって安心して医療を受けられる環境を整えていく責務があります。

しかし、移行期における実務の煩雑さや、情報の取捨選択に不安を感じる経営者様・事務担当者様も少なくありません。

「現在の対応で不備はないか」「従業員への説明をどう進めるべきか」

少しでも懸念がございましたら、ぜひお気軽に専門家までご相談ください。

 

 

     【投稿者:社会保険労務士 大髙 秀樹】

 

 

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