【入門講座・第1話】『初めて従業員を雇う社長様へ』雇用時に必要な手続きと経営者の重い責任とは?(2025.9.12)
<< 社長が本業に専念するための「お守り」としての労務管理>>
本日から全5回にわたり、『社長が本業に専念するための「お守り」としての労務管理』をテーマに、主に5人未満の企業様が抱える労務の課題とその解決策をわかりやすく解説します。
そうお考えの社長様へ。
その決断は、会社のステージが一つ上がる、勇気ある素晴らしい一歩です。事業を広げ、仲間を増やす…、世の中のために役に立ち社会に貢献する…。まずはそのご決断に、心から敬意を表します。
 しかし同時に、従業員を一人でも雇った瞬間から、社長には新たな「責任」がのしかかります。これは決して脅すつもりではなく、経営者である以上避けては通れない現実なのです。
【 人を雇うとは?使用者として負う法律上の義務 】
  しかし、社員が入社したその日から、会社は「使用者」として法律上の義務を負うことになります。給与の支払いだけでなく、労働時間の管理、社会保険や労働保険の加入手続き、労働安全衛生法遵守、労働契約法上の安全配慮義務…。やるべきことは山のようにあり、知らなかったでは済まされません。労働基準法等は『懲役または罰金』等の罰則まであります。
今後は、「使用者」として労働基準法他労働者のための法律を遵守し、且つ経営者として会社の利益を継続的に上げていかなければなりません。
【これだけは必須!従業員の雇用時に必要な主な手続き一覧】
たとえば次のような手続き、すぐに思い浮かびますか?
 ・労働保険の年度更新(毎年7月、1年間の保険料を確定する)
 ・労働保険の成立届(社員を初めて雇ったときに必ず提出)
・労働条件通知書の交付(雇用契約内容を必ず文書で明示)
・労働者死傷病報告の実施(労働災害が発生し、死亡・休業等した場合)
 ・ストレスチェックの実施(心理的負担の程度を把握)
これらはすべて法律で定められた義務です。ところが、創業まもない会社や5人未満の企業では、こうした手続きを「知らなかった」「つい後回しにした」という理由でトラブルになるケースが少なくありません。
【うちの会社は大丈夫…?よくある労務トラブル例】
経理担当の声:「社会保険料の計算を間違えたので、前回の年末調整がやり直しになった!」
従業員の声:「それはパワハラです。労基署に相談に行ってきます…!」
従業員の声:「労働組合に加入しました。団体交渉をお願いします…!」
課長の声:「社員から有給買い取ってと言われたが、断れない?…?」
社長の声:「労災事故が起きたのに報告を忘れた。『労災かくし』と言われる…?」
こうしたトラブルは、どれも「知らなかった」「ついうっかり」で発生します。けれども行政は待ってくれませんし、従業員にとっては生活に直結する問題ですから、責任はすべて会社、つまり社長が負うことになります。
裏を返せば、そこを専門家がサポートすれば、社長は本業に専念できるのです。
つまり、労務-管理とは社長にとっての「お守り」。きちんと備えをしておけば、トラブルから会社と社長を守ってくれます。
このように、労務管理・法令遵守は単なるコストではありません。未来への「投資」として捉えることで、他社にはない、やる気に満ちた強い組織を作ることが可能なのです。
【まとめ】
社長が安心して事業に専念できるよう、労務管理の知識は「お守り」として必ず持っておいていただきたいのです。
 
【次回予告】
『年に一度の恐怖の通知「算定基礎届」…それ、本当に合っていますか?』
をテーマにお届けします。
具体的な手続き上のリスクや、見落としがちな落とし穴を解説しますので、ぜひ続けてご覧ください。
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