【おやつと労務3】(2025.9.5)
🎨【総務担当者奮闘記】「有給ゼロで骨折…」後輩からのSOS!🎨
つい先日、私の社会人生活で一番心臓が止まりそうになった出来事がありました。
いつものようにコーヒーを淹れて、ふと引き出しのクッキーに目が止まりました。「あ、これ、賞味期限昨日だったな…でもまだいけるか」なんて考えていたら、会社の外線電話がけたたましく鳴り響いたんです。
「Aです!」「…ごめんなさい、実は休みの日に駅の階段で転んで、足を骨折しちゃいました」
声の主は、若手社員のCさん。私は一瞬、頭の中が真っ白になりました。骨折?お給料はどうなるの?先輩はたまたま外出中。とりあえず、スマホ片手に震える手でGoogle先生に「社員骨折 休む」と入力。会社の就業規則や、先輩が残してくれたマニュアルを引っ張り出してみたものの、頭には全然入ってこない。
すると、Cさんから追い打ちのメッセージが。「A子さん、有給もう残ってないので、どうしたらいいでしょうか…?」
「困った時は、制度をちゃんと知ることが社員さんを安心させる一番の近道だからね。」
気づけば私は、会社の椅子から飛び上がり、協会けんぽのホームページにかじりついていました。そしてその日の帰り道、まるで何かに取り憑かれたかのように大型書店に駆け込み、「社会保険」「健康保険給付」と書かれた本を数冊、鷲掴みにしてレジへと向かいました。私の、一夜漬けの猛勉強が始まったのです。
翌日のお昼前。少し寝不足の頭を抱えながらも、昨日とは別人レベルの知識を詰め込んだ私は、自信を持ってCさんに電話をかけました。
「あの…傷病手当金って…なんですか?詳しく教えてもらえますか?」
(よし、来た!)私は心の中でガッツポーズをしました。昨日、マーカーで線を引いた知識を、今こそ披露する時!
「(1)業務外の事由による病気やケガであること。 Cさんの場合は、お休みの日の事故だからこれに当てはまるね」
「(2)働くことができない状態であること。これは、お医者さんが証明してくれるから大丈夫」
「(3)連続する3日間を含み4日以上仕事を休んでいること。 この最初の3日間を『待機期間』って言うんだけど、ここがポイント!この3日間は有給を使ってもいいし、Cさんみたいに有給がなければ無給で休んでもOK。だから有給がなくても申請できるんだ」
「(4)そして、その休んだ期間について給与の支払いがないこと。これらを満たせば、お給料のおおよそ3分の2が支給されるんだよ」
さらに、今後の手続きについても、完璧なフローチャートを脳内に描きながら説明します。
一気に説明し終えた私に、電話の向こうのCさんは感嘆の声を漏らしました。
(ふふふ…Cさん、私が昨日、閉店間際の書店で参考書と格闘していたことは知らないだろう…)
数日後、松葉杖をつきながら、Cさんが照れくさそうに出社してきました。
「A子先輩、この度は本当にありがとうございました!本当に助かりました!」
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