【 おやつと労務6】*息抜きに読んでみて下さい(2025.12.5)
💖【冬のボーナス大戦】若手総務A子 vs S課長(12月、モンブランは遠く…)💖
皆様 聞いてください!またやらかしました、私はA子、新人総務担当者です!
7月の「算定基礎届」を乗り越え、少し落ち着いたかな なんて思っていた矢先、オフィスには次の巨大な波が押し寄せていました。そう、それは年末の「冬の賞与(ボーナス)計算と賞与支払届出」です!
12月、街はイルミネーションでキラキラと輝いていますが、私のオフィスのデスクは冷たい書類の雪山です。私の人差し指は、冷え切った部屋で震えるホッカイロみたいに、熱い計算書の上でブルブル震えていました。
❄️ 暖房と賞与の計算期間 ❄️
社長の「お米も野菜も何もかも値上がりしている。みんなで心温まるあったかい冬を迎えよう!」という景気の良い一言で、今年の冬の賞与は例年以上に増額。喜びの裏で、私の計算のプレッシャーは真冬の寒波のように身に染みました。賞与が増えれば、社会保険料(と所得税)の計算も一歩も間違えられません。
私は、ぬくぬくと暖房が効いたオフィスで、湯気が出るくらい集中して計算に取り組みました。隣のベテラン社員同士の雑談がスタバのBGMに聞こえるほど・・・・
(大丈夫、私!夏の戦いで学んだはず!)
賞与計算で控除するのは、社会保険料、雇用保険料、源泉所得税。この緻密な計算の連携は、まるで精密な雪の結晶のようです。どこか一辺でも欠けたら、美しい全体像が崩壊してしまうのです!
私は、一つずつ、指差し確認をしました。「標準賞与額上限は?…クリア!」「計算ソフトの料率は最新?…クリア!」「前月の給与額の設定は?…クリア!」「扶養関係の設定は?…クリア!」
パソコンの画面は、鮮やかな緑色で「計算完了」を示しています。私は、思わず小さくホッと息をつきました。
(フフフ…どうです、S課長!今回の冬のボーナスは、完璧な雪景色ですよ!)
私は、自信満々で「健康保険・厚生年金保険賞与支払届」の電子申請画面を開き、必要事項を入力。指を、送信ボタンの上にそっと置きました。
(今日の私のご褒美は、絶対「和栗のモンブラン」!一番上に大粒の栗が乗った、あの一番大きいヤツ!あの全国モンブラン大会で優勝した憧れの!)
💥 背後からのシルキーボイスと絶望の冷風 💥
…と、私のモンブランへの熱い想いが最高潮に達した、まさにその時でした。
「A子さん、お疲れ様」
「ヒッ!?」
まただ!またしても忍者のような足音で!心臓が氷のかけらみたいにキュッと縮みましたよ、マジでやめてくれ!!
振り向くと、S課長が、例の隙のない笑顔で立っていました。
「か、課長!お疲れ様です!冬の賞与、最終確認中です!」私は、動揺を隠し、声を震わせました。
課長は、私のデスクを覗き込み、電子申請の最終画面に視線を落としました。
「うん、早いね。さすがだ。夏の算定以降、努力して学習した成果がよく出ているよ。賃金台帳からの転記も、計算ソフトへの打ち込みも、ミスらしいミスは見当たらない。これなら、もう僕が細かいところまでチェックしなくても良いだろう?・・・もうベテランの仕事だね。この冬の賞与支払届については、主担当として全責任をA子さんに任せられるレベルに成長したということだろう? 頼もしいよ。」
(え…ストレートに、しかも長文で褒められた!?しかも「早いね」!?「全責任」!?!…ん?でもなんか圧がすごい!?絶対何か言いたいのだろうS課長!?)
私の顔が暖炉の炎のように温かくなりましたが、同時に背中に冷たい汗が流れました。プレッシャーは感じましたが、S課長の完璧な笑顔の前で「不安です」とは絶対言えません。
「はい。大丈夫です。完璧です」
私は、精一杯の笑顔で言い切りました。
「完璧だね」
「・・・・」
「ただね、A子さん」
……………ただね。
来ました。この「ただね」の冷たい響きが、私の温かい感情を一瞬で凍らせます。
課長は、私の計算書の一番上の行、「社員番号007:Kさん」の欄を指さしました。
「Kさん、今、どういう状況だったかな?」
「えーっと、Kさんは…あ、先月から育児休業に入られていますね!」私が答えると、課長は優しく、しかし有無を言わせない、冬の空のような目で頷きました。
「そうだね。育児休業中だ。育児休業中の社会保険料免除、賞与についても適用されるね?」
「はい、免除になります!」
「そうだね、免除になる。じゃあ、この届出と計算書、免除になっているかな?」
私は、慌てて画面と計算書を確認しました。
賞与支払届の画面: 「備考」欄の『育児休業期間中の賞与』にチェックが入っていない!
私の計算書: Kさんの賞与から、しっかり社会保険料が控除されている!
「う、嘘…!!」
背筋に雪崩が押し寄せたような感覚でした。
🚨 忘れてた!男性育休中の賞与免除の罠 🚨
A子の頭の中で、大寒波警報が鳴り響きました。なぜ、Kさんが育休中だと知っていたのに、また間違えたのか?
「A子さん、Kさんが男性で育休に入った時、慎重に手続きしたはずだ。でもね、『賞与は支給されるが、保険料は免除』という二つの事実の組み合わせを、また見落としたんだ。」課長が指摘します。
「女性社員は、育休に入ると賞与の算定期間から外れることが多かったから、支給自体がないパターンが多かった。だから、免除の処理も意識しなくて良かった。でも、Kさんは直前まで働いていたから賞与は出る。免除の処理だけは手動でしないといけない。」
「男性育休が広がる現代において、賞与計算における『育休中の免除処理』は、冬のボーナス戦線で最も警戒すべき地雷なんだよ。」課長は静かに、しかし厳しく解説しました。
💡 モンブランは幻に 💡
S課長は、まるで雪を払うように、電子申請画面のKさんの欄にチェックを入れ、計算書上の控除額を「0円」に修正しました。
「社会保険料免除の見落としは、社員の手取りを不当に減らし、会社と社員の信頼関係を雪のように溶かしてしまう。そして、今回のミスの原因は、『慣れ』だ。」
私の和栗のモンブランは、完全に冷凍されてしまいました。私の心は、年末の倉庫みたいにガラガラです。
「…すみません、課長。男性の育休と知っていたのに、保険料の免除を忘れてしまいました。次回は十分に気をつけます…!」
私は、深く、深く頭を下げました。
課長は、再び完璧な笑顔に戻り、私のデスクに、分厚いファイルを置きました。
「よろしい。じゃあ、まずはこの『年末調整の法定調書作成スケジュール』の確認だ。そして、今日のご褒美は、デパ地下のスイーツからスーパーのモヤシに改定だね。早く帰って、現実を噛み締めながら、味わって食べてくれたまえ。」
「ヒィィィィィ!😱」
私の冬のボーナス戦線は、まだ、始まったばかりでした。算定も、賞与も、「出して終わり」じゃなく、「正しく計算して手続きが完了」する、本当に長い長い雪道の旅なんですね…。
がんばれ、私!いつかS課長を超えて、年末のモンブランを心置きなく買って帰るぞ…!(でも、モヤシも、意外と栄養あってシャキシャキ美味しいですよね!?)
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