【スポットワークの労務管理】(2025.8.12)
スポットワークの労務管理については下記のような注意点があげられます。
【労働契約の締結と義務】 スポットワークでは、事業主とスポットワーカーが直接労働契約を締結するため、労働基準法等を守る義務は事業主に生じます。労働契約は労使の合意で成立し、アプリでのマッチングではワーカーが求人に応募した時点で成立すると考えられることが一般的です。そのため、予定された就業開始前に労働条件を書面などで明確に示し、成立時期を労使で共有することが重要です。
【契約の解除と変更】 事業主の都合で直前に仕事を解約すること(キャンセル)は、ワーカーの就労機会を奪うため不適切とされています。そのため、事業主からの契約の解約については別の就労機会を見つける時間的余裕に配慮した設定が求められます。また民法上、やむを得ない事由がない限り、契約期間の定めのある労働契約の成立後の解約はできません。労働日や労働時間の変更には、労使双方の合意が必要です。
【労働時間と賃金】 事業主の指示による着替えや業務終了後の後始末、待機時間なども労働時間に含まれます。賃金はワーカーの生活の糧であるため、実際の労働時間に基づき、遅滞なく支払う義務があります。事業主の都合で丸一日の休業や早上がりをさせる場合は、休業手当の支払いが必要です。一方的な賃金減額は労働基準法違反となります。
【その他の義務】 スポットワーカーが通勤中や仕事中にケガをした場合、事業主は労災保険給付の対象となる保険関係を成立させている必要があります。また、労働災害防止対策や、パワハラ・セクハラなどのハラスメント対策も事業主の義務です。
<投稿者: 社会保険労務士 大髙 秀樹 >